(第29回)
7.加工用レーザの種類と特徴
 (1)どのようなレーザがどんな加工に使用されているのかをまとめてみました。
レーザ名
波長(μm)
発振動作
主な用途

        CO2
        10.6
        連続パルス
        熱処理、溶接、切断、穴あけ
        TEACO2
        10.6
        パルス
        マーキング
        CO
        約5
        連続
        切断

        ArF
        0.193
        パルス

光化学反応

フォトエッチング

アブレーション

        KrF
        0.249
        XeCl
        0.308
        XeF
        0.350
        固体レーザ
        YAG
        1.06
        連続Qスイッチ

溶接、穴あけ、切断、トリミング、

マーキング

        Nd:ガラス
        1.06
        パルス
        スポット溶接、穴あけ
        アレクサンドライト
        0. 70〜0.83
        パルス
        穴あけ、アニーリング

    この中で、TEA(Transversely Excited Atmospheric:横方向大気圧励起)
    CO2レーザは、通常のCO2レーザよりも高圧放電を利用したパルス発振
    レーザのことです。エキシマレーザ(Excited dimmerの略)は、自然状態では
    結合しない原子あるいは分子どうしのガスを電子ビームや放電などで励起すると、
    一時的に結合して擬似分子を形成(これをExcimer:エキシマと呼ぶ)し、もとの
    原子あるいは分子に戻るときに放出する固有の波長の光を利用して誘導放出を起こ
    させたときに発生するレーザです。アレクサンドライトレーザはアレクサンドラ
    イト結晶(BeAl2O4)にCr3+がドープされた材料を用いており、市販
    された最初の波長可変固体レーザです。
(2)加工光学系について
  レーザ加工は熱プロセスであるため、光学部品には熱吸収による劣化や変質を
    起こさない材料を選ぶことが基本となります。たとえば、石英系材料はエキシ
    マレーザからYAGレーザまで透過し機械的強度も大きく、精度の高い加工が
    可能です。しかしながら10.6μmのCO2レーザでは吸収してしまうので、
    透過光学部品としては使えません。CO2レーザ用にはZnSeが多く使われ
    ます。この材料は高価ですが、機械的強度も大きく潮解性もありません。但し、
    毒性が強いので取り扱いには十分な注意が必要です。各種光学材料の特徴をま
    とめてみます。  
種  類
屈 折 率
透 過 域
特  性
BK7
1.51633(d線)
350nm〜1.5μm
研磨性に優れ、最も多用さ
れている材料
合成石英   
1.45847(d線)
180nm〜3.5μm      
熱膨張係数が低く、精度、
安定性に優れている
フッ化カルシウム
1.43403(d線)
105nm〜6μm        
紫外から赤外まで幅広い
透過率をもつ
光学用シリコン
3.4738(1.6μm)
1.5μm〜6μm
屈折率、耐久性が高い
ZnSe
(ジンクセレン)
2.405(10.6μm)
600nm〜11μm       
CO2レーザ用に多用

 更新10月中旬の予定です。
  第1〜21回の話も読みたい方、ご質問等は
  気軽にreception@sankyou-kogaku.co.jpまでご連絡をお願いします。
第1回 歴史、光の反射
第2回 光の屈折
第3回 光のスペクトル、光の色、物体の色
第4回 光の干渉、回折、偏光
第5回 単レンズの概要
第6回 顕微鏡の光学系
第7回 望遠レンズ、テレコンバータ
第8回 写真レンズ
第9回 レーザ光学系
第10〜12回 プリズム
第13回 回折格子
第14回 位相板
第15〜16回 収差
第17〜18回 各種単レンズ
第19〜21回 反射鏡系
第22回 分解能について
第23回 ファイバースコープ
第24回 縮小投影露光装置:ステッパ(逐次移動式露光方式)
第25回 光ピックアップ
第26回 レーザプリンタ
第27回 液晶プロジェクター
第28回 レーザー加工装置