「光学の基礎」

(第9回)


8. レーザ光学系


  8−1.レーザ光の特性 

          レーザ光は普通の光に比べてコヒーレンス(干渉性)がきわめてよいのが特色です。

          その結果として、レーザビームは鋭い指向性をもっています。
          いま、レーザの発振波長がλ、レーザビームの直径がDであるとすると広がる角θは、

           で与えられます。

           例えば直径2mm、波長500nmのレーザ光の場合、光束の太さは 10mで2.5mm、
           100mで2.5cmとなります。 このようにレーザ光は平行度がよく、広がりの少ない
           ビームですからレンズで集光すると 波長の数倍程度の小さな点に集光することができます。
           そのためレンズの焦点で得られる エネルギー密度は非常に高い値となります。
           ルビーレーザや炭酸ガスレーザを使うと、 エネルギー密度は太陽光で得られる値の数万倍
           にも達します。
           発振波長がλのレーザをレンズの焦点距離fの位置に集光したときの焦点径ω0は、

           で与えられます。
           ここで、ωはレーザ光のレンズの位置でのビーム半径です。


   8−2.レーザの応用分野

           まずレーザ光は単色性がよいので、光ファイバーの中を通して光通信の搬送波に使うこと
           ができます。また、干渉性がよいのでホログラフィーや干渉を利用したいろいろな計測に
           使われています。
           たとえば、レーザ測距儀は何十kmも離れた2点間の距離を、1kmあたり1mmの精度
           で測ることができます。
           指向性のよいことを利用すると、月までの距離を正確に測ることもできます。
           地球からレーザ光のパルスを発射して、それが月面の置かれた反射鏡からもどってくるま
           での時間を測ればよいのです。また、レーザ光を大気中に送り出し、気体分子から反射し
           てくる光を調べると、分子の種類と量がわかって大気の汚れを測ることができます。
           レーザ光はエネルギー密度の高いスポットが得られるので、いろいろな加工に用いられます。
           たとえば、ガラス、宝石、金属などの穴あけ加工。手術用のレーザメス、網膜剥離の治療
           などもあります。さらに、強力な炭酸ガスレーザで重水素・三重水素の核融合を起こすこ
           ともできます。



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