進行する波が障害物の陰に当たる場所にも曲がり込んで伝わる現象を波の回折といいます。
例えば港の防波堤の陰に海の波が曲がり込む現象やコンクリート塀の向う側のひそひそ話がこちら側に聞こえるのは日常体験できる回折現象です。これに比べると光の回折現象はその大きさが小さいため、日常検知することが難しいのです。
① 温泉の湯殿の湯気のこもった室内で電燈を見ると、電燈のまわりに輪が見えることがあります。これは、湯気の粒子によって電燈からの光が回折することによって 生じたものです。
② 太陽や月のまわりにできるかさは、巻層雲の細かい氷の結晶の粒子によって反射や屈折をさせられて生ずるものです。このかさと似た現象に光環 (内側が紫で外側が赤になる順に着色した小さい輪)があります。
これは、粒のそろった水滴からできている雲が、太陽や月の面を覆うとき、それらからの光が水滴によって回折されるために生じたものです。(①と同じ現象)